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第1回 DeNA「共創で実現する横浜スポーツタウン」

横浜市庁舎跡地活用事業のプロジェクトメンバーである、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)と三井不動産株式会社(以下、三井不動産)、東急株式会社(以下、東急)、京浜急行電鉄株式会社(以下、京急電鉄)の4社とベンチャー企業による共創プログラム「Yokohama Sports town Accelerator(以下、YSA)」。
横浜市庁舎跡地活用事業が計画されている関内周辺エリアにおいて、業界の異なる各社が協力して実施するYSAとはどのようなものなのか?それぞれの領域でどんなアイデアを求めているのか?どのようなまちづくりを実現したいのか?4社のYSA担当者が語ります。

第一弾でインタビューするのは、2011年に横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)の経営に参画し、以降関内を中心とした横浜エリアにおいて様々な取り組みを展開しているDeNA。
DeNAはプロ野球やスマホゲーム以外にも、AI・ヘルスケア・オートモーティブ・ソーシャルLIVEなど様々な事業を展開しています。
今回登場するのは、スマートシティ統括部スマート・ベニュー推進部の中寺氏です。

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DeNA スマートシティ統括部 スマート・ベニュー推進部 中寺康太郎氏
大学卒業後2010年に鉄道会社に入社し、不動産開発企画や公民連携まちづくり事業を経てDeNAに入社。横浜を中心にスポーツコンテンツを活用したまちづくりに取り組む。

ーまず、YSAに取り組む背景について教えてくださいー

2019年9月に横浜市が行った市庁舎跡地活用事業の公募で、三井不動産が代表企業を務めるコンソーシアムが事業予定者として選定されました。今回YSAを実施する4社は、このコンソーシアム「KANNAI8」のメンバーでもあります。現時点の予定では市庁舎跡地活用事業の施設開業は2025年となっており、まだ5年ほど時間があります。一方で、新しい施設が開業するまでは何もできないのか?というとそうではないと思っています。ハードの施設開発だけではなく、関内周辺エリアのまちづくりへの貢献の1つとして、4社でアクセラレートプログラムを実施することになりました。

このような経緯でスタートしたプログラムなので、YSAの特色は「4社横断」で推進するところにあります。通常ですと1社が実施するため、当然応募者には1社が保有するリソースが提供されますが、今回は業界の異なる4社のリソースを横断的に活用できる可能性のあるプログラムとなっています。
また、DeNAとしては、YSAによって横浜スポーツタウン構想の実現に貢献したいという想いもあります。

ー横浜スポーツタウン構想とはどのようなものなのでしょうかー

これまで横浜DeNAベイスターズは、「コミュニティボールパーク」化構想を掲げ、野球が好きな人はもちろん、野球をスタジアムで観戦したことがない人も家族や友人、同僚と気軽に集い、楽しめる場作り(コミュニティ作り)を目的とし、横浜スタジアムや横浜公園において、様々な取り組みを推進してきました。例えば、横浜公園で開催したビアガーデンイベント「ハマスタBAYビアガーデン」などです。

このような「コミュニティボールパーク」化構想の推進によって創出された、横浜スタジアムや横浜公園の賑わいを、関内周辺エリアという街レベルに発展させるべく2017年1月に発表された構想が、横浜スポーツタウン構想です。市庁舎跡地活用事業やYSAは、横浜スポーツタウン構想の実現に貢献できると思っています。

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2020年2月に増築・改修工事が完了した横浜スタジアム

ープロ野球の興行だけでなく、
まちづくりの視点で取り組まれているということでしょうかー

横浜スポーツタウン構想は、まさにまちづくり視点での取り組みだと思っています。プロ野球のホーム開催試合は年間約70日程度で試合時間は約3時間程度ですので、プロ野球の興行だけでは年間を通した街レベルの賑わいの創出は実現できません。極端な話、24時間365日街に賑わいを創出するためにはどうしたらいいかという視点を持っています。

そのためには、プロ野球や音楽ライブのような大規模なコンテンツだけでなく、様々なコンテンツや場に関与する必要があると思っています。そのような考え方で取り組む事業の一つが、例えば市庁舎跡地活用事業で計画しているライブビューイングアリーナ(以下、LVA)です。LVAは、DeNAが企画・運営する、ライブエンターテイメントと飲食を楽しめる体験型施設ですが、プロ野球の試合のライブ配信だけでなく、他スポーツや音楽、演劇、独自コンテンツの企画など多様なエンターテイメントを年間通して提供することで、関内の賑わい創出の柱になることを目指しています。

また、私の所属している部署は、スマートシティ統括部という名前になっています。スマートシティとは、テクノロジーを用いて、生活インフラやサービスを効率的に管理・運営し、人々の生活の質を高めることを目的としたまちづくりの取り組みです。LVAのような取り組みは新しい施設作りになりますが、施設のようなハード面だけでなく、テクノロジーを用いてソフト面での取り組みを合わせて行うことで、関内周辺エリアをより魅力的な場所にしていきたいというのがDeNAの想いです。

ーDeNAとしては、関内の街にはどのような課題があるように感じていますかー

近年は、隣のみなとみらいエリアに経済や商業の軸足が移っている流れがあります。みなとみらいには大型の商業施設やレジャー施設が集積しており、とても便利な街ですが、関内にはみなとみらいには無い魅力があると感じています。例えば、関内周辺には歴史的な街の資産が多く存在します。横浜スタジアム周辺には中華街や山下公園、美しい景観の日本大通りがあり、その周辺には古い建築物も多く残っています。少し足を伸ばすと野毛の飲屋街など独特の雰囲気を持つ人気スポットがあります。

一方で、これらのスポットが人々にとって回遊しにくいことは課題と認識しています。みなとみらいのように集積しているわけではなく点在しているので、回遊性はどうしても劣ってしまう部分があります。

ーそれらの課題に対して、どのようなアイデアを望まれているでしょうかー

プロ野球の観戦で関内を訪れる人々が、試合の前後の時間帯にこれらのスポットに立ち寄ったり、回遊するような動きが活発になると、地域経済にも好影響ですし、関内の街はもっと良くなると思っています。

例えば、関内の各スポットのイベントの情報などがリアルタイムで発信されていたり、人々がそれぞれのエリアに回遊するメリットを提供できるようなアイデアがあると面白いですね。

ーDeNAはどのようなリソースを提供できるのでしょうかー

DeNAグループとして特徴的なものは、やはり横浜スタジアムやグループで保有するデータだと思います。
横浜スタジアムを使った実証実験の機会の提供や、プロ野球やスマホゲーム以外にも、AI・ヘルスケア・オートモーティブ・ソーシャルLIVEなど様々な事業を通して蓄積したデータ・ノウハウを提供できる可能性があります。

また、関内で横浜DeNAベイスターズが運営しているTHE BAYSの2階ではCREATIVE SPORTS LABというコワーキングスペースがあります。採択されたプロジェクトの検討期間はこちらの施設をご利用いただくことも可能です。

さらに、今回YSAは横浜市にご後援をいただいておりますので、4社のリソース以外でも、案件よっては横浜市にご相談をすることも可能です。

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THE BAYSの2階にあるCreative Sports Lab

ー最後に改めて、応募を検討している方々にメッセージをお願いしますー

YSAは未来の関内の街を共創するプログラムです。関内エリアは元々開港の地であり、かつては「日本初」となるような様々なものを発信してきましたので、新しいものを生み出すDNAが根付く街です。YSAに少ししでもご興味があったり、可能性の感じるアイデアがあれば、ぜひエントリーをお願いいたします。私たちと一緒に未来の関内を創造しましょう。