Entry Attention
Line Interview

第3回 京急電鉄「街と街の魅力を繋ぎ新たな価値創出」

横浜市庁舎跡地開発プロジェクトのメンバーである、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)と三井不動産株式会社(以下、三井)、東急株式会社(以下、東急)、京浜急行電鉄株式会社(以下、京急)の4社とベンチャー企業による共創プログラム「横浜スポーツタウンアクセラレーター(以下、YSA)」。
横浜市庁舎跡地開発プロジェクトが計画されている関内周辺エリアにおいて、業界の異なる各社がそれぞれの領域で求めるアイデア・事業はどのようなものか?どのようなまちづくりを実現したいのか?
4社のYSA担当者が語ります。

第三弾でインタビューするのは、2019年に横浜に本社を移転した京急電鉄。
今回登場するのは、開発統括部開発推進担当の松原氏です。

Interview 3 - Image 1
↑京急電鉄開発統括部開発推進担当の松原歩美氏  2014年に入社し、主に横浜エリアの開発を担当する

➖京急電鉄は空港線のある羽田や品川の開発に注力されている印象ですが、関内のプロジェクトに取り組む背景について教えてください➖

京急沿線には、品川・羽田・川崎・横浜・横須賀・三浦など、複数の拠点があります。その中でも品川や羽田は国内外の様々なお客様をお迎えする沿線のゲートであり,各拠点の開発を促進することで、ゲートから各拠点へ、さらに沿線全体の活性化に波及させることを目指しております。京急沿線の中心である横浜・関内エリアの魅力向上は当社にとっては重要な課題であると思っています。

街を構成する主要な施設であった横浜市役所が移転したあと、どうやって街の賑わいづくりを担うのか、新たなまちづくりとして非常に大きな意義があり、また日ノ出町・黄金町エリアをはじめ京急沿線活性に寄与すると思い、本プロジェクトに参画しました。すでに関内エリアで横浜スポーツタウン構想をかかげてまちづくりに取り組まれているDeNAさんをはじめとする4社で連携し、当社のみではできなかった、スポーツを軸とした新しいまちづくりに取り組んでいきたいと思っています。

➖黄金町や日ノ出町で賑わい創出に向けた取り組みをされていますが、具体的にはどのようなことをされているのでしょうか➖

以前は違法風俗店が集積していましたが、2008年から横浜市・地域住民・警察等と連携し、違法風俗店の排除後のまちづくりとして「アートによるまちづくり」を推進してきました。アートによるまちづくりを体現する施設として文化芸術スタジオを整備するなど、高架下スペースの連続的な整備を行っています。

2018年には宿泊施設・水上アクティビティー拠点などからなる複合施設「Tinys Yokohama Hinodecho」、今年3月には「日ノ出町フードホール」を開業し、賑わいにあふれたアートのまちの形成を目指して、日ノ出町・黄金町エリアの活性化に取り組んでいます。

Interview 3 - Image 2
↑2020年3月に開業した日ノ出町フードホール
Interview 3 - Image 3
↑Tinys Yokohama Hinodecho

➖鉄道やバス、タクシーなど横浜エリアで様々な交通事業をされてますが、羽田空港とのアクセスなど含め、交通目線で関内周辺の課題はどのようなところでしょうか➖

南北を軸に交通動線が充実していますが、鉄道は横浜駅、バスは横浜駅やみなとみらいを中心としたバス網であるため、地区内の回遊性がやや弱いと感じています。また関内周辺は元町・伊勢佐木町・野毛・馬車道・中華街など地区ごとに特色を持ちながら発展してきましたが、それらの地区を有機的につなげる交通網がないことも課題です。

今は関内駅には交通広場がないため関内駅を起終点とする路線バスが少なく、中長距離の高速バスが駐停車できないのですが、この場所は高速道路が近く、バスによる羽田空港へのアクセスがよい立地でもあります。今後バスプールが整備され、羽田空港からの直行バスや、オープントップバスを関内地区へ走らせることができれば、この地区のターミナル性が高まり新たな可能性を生み出せると考えています。

さらに実証実験を通じて地区内を回遊する交通の拡充についても検討していくことで、新たな回遊を生み出していきたいです。東急さんのMaasとも連携し、シームレスに移動できるウォーカブルな「まち」として、関内・関外地区の力をさらに高めていきたいと考えています。

➖横浜に本社を移転されましたが、横浜の企業として、関内のエリアの魅力や課題はどのようにお考えでしょうか➖

関内周辺には、日ノ出町、元町、伊勢佐木町、野毛、馬車道、中華街など、横浜開港以来の歴史や文化が集積する魅力的な地域が集積しており、伝統あるお店はもちろんのこと、当社社員にとっても先輩方に教えてもらった隠れた名店が数多く存在します。

ジャズバーの名店や、防火帯建築を生かしたアーティストの拠点も数多くあり、各地域の魅力は十二分にあるものの、統一的なマネジメントがないこと、また発信に弱い面もあり,各地域の魅力が地域全体の魅力として生かし切れていないと感じています。エリアのこれからの成長のため、これらのエリアをつなげて地域全体の魅力とするような機能が必要なのではと思っています。

➖それらの課題に対して、今回の取り組みでは、どのようなアイデアを望まれているでしょうか➖

各地域の魅力的なコンテンツをどうやって有機的につなげ、新たな可能性を発掘できるかがカギになります。当社は移動手段を提供していますが、従来の観点とは違った切り口のイノベーターたちにもぜひ参画してもらい、新たな価値を共創できればと思っています。

スポーツを軸としたまちづくりに関するイノベーティブなアイデアはもちろん、現在はいろいろな分野での境目がなくなってきており、当社の事業範囲にこだわることなく社会課題解決に向けたチャレンジ提案を待っています。

➖京急電鉄はどのようなリソースを提供できるのでしょうか➖

ご提案いただいた事業になるべく柔軟に対応したいと考えています。関内エリアには、当社線の駅やバス・タクシーなどの交通、高架下の商業施設があり、データ取得や事業展開、実証実験、イベントやサービスの周知など様々な活用方法が考えられます。

➖最後に改めて、応募を検討している方々にメッセージをお願いします➖

今回のYSAでは4社のリソースを組み合わせた事業も考えられるので、ぜひ横断的に使っていただき、関内エリアのこれからのまちづくりのための幅広い提案をいただければと思っています。