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第4回 三井不動産「次の100年に向けて。関内周辺エリアの新たな街づくり」

横浜市庁舎跡地開発プロジェクトのメンバーである、株式会社ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)と三井不動産株式会社(以下、三井)、東急株式会社(以下、東急)、京浜急行電鉄株式会社(以下、京急)の4社とベンチャー企業による共創プログラム「横浜スポーツタウンアクセラレーター(以下、YSA)」。
横浜市庁舎跡地開発プロジェクトが計画されている関内周辺エリアにおいて、業界の異なる各社がそれぞれの領域で求めるアイデア・事業はどのようなものか?どのようなまちづくりを実現したいのか?
4社のYSA担当者が語ります。

最終回となる第四弾でインタビューするのは、総合デベロッパーの三井不動産。
今回登場するのは、横浜支店の酒井氏です。

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<写真>↑三井不動産  横浜支店の酒井茂之氏
1994年に入社。日本橋の再開発・IT部門を経て横浜の街づくりを担当する。

➖横浜市市庁舎跡地活用事業の代表企業を務められていますが、プロジェクトについて教えてください➖

横浜市市庁舎跡地活用事業(以下「本事業」といいます。)は、当社、㈱ディー・エヌ・エー、東急㈱、京浜急行電鉄㈱、ほか4社(※)が進めている複合開発です。
横浜市から約5,000坪の市庁舎跡地を借り受け、高さ約170mのタワー棟、市庁舎建物を保存再生したホテル棟、多彩な商業施設を擁する低層棟、および駅前広場を整備します。

コンテンツとしては、まちづくりのテーマである「国際的な産学連携」「観光・集客」を実現するため、大学と企業の研究開発拠点を誘致したり、飲食を楽しみながら様々なエンターテインメント配信を体験できる「ライブビューイングアリーナ」や先端テクノロジーを活用した教育エンターテイメント施設の導入を検討しています。

完成は2025年中を予定しており、この事業を通じて関内の魅力と活力を再興することに貢献したいと考えています。
(※  鹿島建設㈱、第一生命保険㈱、㈱竹中工務店、㈱関内ホテルマネジメント)

<映像>横浜市庁舎跡地活用事業(JR関内駅側から見た完成イメージ)

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↑横浜市庁舎跡地活用事業、JR関内駅側から見た完成イメージ

➖今回のYSAの取り組みと横浜市市庁舎跡地活用事業との関係を教えて下さい。➖

関内・関外には豊かな歴史・文化や魅力的な街並みが溢れていますが、横浜駅周辺やみなとみらい地区の開発が進んだ影響などにより、近年では賑いや活力が失われつつあると言われています。
現在、関内駅周辺は国から「特定都市再生緊急整備地域」という緊急・重点的な都市再生が必要なエリアに指定され、官民一体での街づくりが進められています。本事業もその一環ですが、完成までには5年以上かかる予定です。

私達は本事業の完成まで待つのではなく、関内・関外エリアを活性化する、解り易く言うと「元気にしてくれる」様々なアイデアを持つ事業者を募集し、スピーディーに実行することも必要と考えました。
YSAに応募された複数のアイデアの実証実験を通じ、関内・関外を活性化したいと考えています。

➖三井不動産は日本橋や日比谷などで大規模な街づくりに取り組んでいます。そういった今までの取り組みと、関内・関外で目指す街づくりには、何か共通点はあるのでしょうか?➖

私達は、本事業を「継承・再生・創造」という理念に基づいて推進しています。関内・関外の歴史や文化を継承し、港町らしい活き活きした人々の賑わいを新たなかたちで再生し、関内・関外の活力となる新産業や賑わいの核を創造する、という考え方です。こうした土地の歴史や文化を継承し、新たな時代に相応しい形に再生・創造する取組みは、当社が日本橋や日比谷などで長らく続けてきたものです。

日本橋では界隈創生というテーマで住宅、商業施設、ホテルなど様々な用途が融合した多様性のある街づくりや、古くからの通りや路地を活かした街づくりを進めています。ここ関内でも、そのような街づくりを進めることができれば、街の活性化に貢献できるのではないかと考えています。

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↑日本橋再開発にあわせ、地域コミュニティの拠点である「福徳神社」の社殿を再建
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↑界隈創生というテーマで、路地に賑わいを生み出す街づくりも推進
(日本橋における路地の維持・整備や、ビルのリノベーション等による路面店舗活性化)

➖関内エリアの魅力や課題はどのようなところにあるでしょうか➖

関内・関外には開港以来の歴史を感じさせる情緒のある美しい街並みがあり、美味しい食事を楽しめるレストランも沢山あります。また、周辺には、元町や中華街、山手や野毛など多様性を持つ街があり、とても魅力的だと思います。

一方、街全体としての情報発信や連携には、今後強化できる要素があると考えています。
街並みについては、横浜公園や日本大通りなどの人通りが多い場所だけでなく、一歩入った場所に風情ある街並みが増えると、関内・関外の魅力は益々高まると思います。当社は日本橋の広域エリアを活性化する事業にも取組んでいますが、近年では繁華な場所から一方離れた立地に個性的な店舗や、隠れ家的な飲食店、クリエーターや外国人旅行者が宿泊、交流するホステルなどができ、新たな来街者を誘引しています。これらの取組みの多くは、既存建物のリノベーションや、遊休資産の用途変更により産み出されています。

関内駅周辺においても、建て替えや大規模な設備更新をしなくても、街の魅力を高めることができる方策はあると思います。そういった取り組みを、YSAに応募して下さった方々とともに検討したいとも考えています。

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↑日本橋でのエリア活性化に向けたモデル事業
(1階に店舗などを誘致し路面の賑わいを創出)
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↑日本橋でのエリア活性化に向けたモデル事業
(1階に店舗などを誘致し路面の賑わいを創出)

➖それらの課題に対して、どのようなアイデアを望まれているでしょうか➖

こちらが想像もしなかったような斬新なアイデアを含め、とにかく色々なアイデアを伺いたいです。ICTを利活用したアイデアもあれば、技術的には目新しくなくても、関内・関外の課題解決に繋がるアイデアもあると思います。

三井不動産は長期経営方針「VISION2025」のなかで次の3つの方向性を掲げています。
・街づくりを通して、持続可能な社会の構築を実現
・テクノロジーを活用し、不動産業そのものをイノベーション
・グローバルカンパニーへの進化(国内事業においては「世界に通用する不動産サービスの提供」と言い換えることが出来ると思います。)

これら3つの方向性は、これからの街づくりにおいて非常に重要なテーマだと思います。
関内・関外でも「持続可能で暮らしやすいまちの実現」「テクノロジーと現実の不動産を結び付けることによる新たな価値の実現」「国内外からの来訪者が安心して過ごすことのできるまちの実現」といった観点で街づくりに取組むつもりです。こういった観点から見て、関内・関外の課題解決のために役に立つアイデアを期待しています。

➖三井不動産はどのようなリソースを提供できるのでしょうか➖

当社は多くの街づくりや商業施設などの運営に携わっており、そこで培った知識や経験、ノウハウは応募して頂いたアイデアを実行する際にはお役に立つと思います。

➖最後に改めて、応募を検討している方々にメッセージをお願いします➖

関内・関外は歴史が古く、とても魅力的な街ですが、まだまだ成長・発展、更新する可能性が多く残っていると思います。活性化に向け、皆様からのフレッシュなアイデアをお待ちしています。